マイナンバー制度への対応、マイナンバーにはどのようなリスクがあるか?

適切な利用を行なうルール作りが必要なマイナンバー

マイナンバー(個人番号)は、住民票を有するすべての方に1人1つの番号を付してもつ12桁の

番号であり、生涯利用することを前提に国民全員に付与されています。

マイナンバーの導入によって、次のようなメリットが期待されています。

1.行政の効率化

行政機関や地方公共団体等における、様々な情報の照合、転記、入力等に要する時間や

労力が大幅に削減されます。

複数の業務の間での連携が進み、作業の重複等の無駄が削減されます。

2.公平・公正な社会の実現

所得や他の行政サービスの受給状況を把握しやすくなり、負担を不当に免れることや給付を不

正に受けることを防止するとともに、

本当に困っている方にきめ細かな支援を行うことができます。

3.国民の利便性の向上

添付書類の削減等、行政手続が簡素化され、国民の負担が軽減されます。行政機関が持ってい

る自分の情報を確認したり、行政機関から様々なサービスのお知らせを受け取ったりできま

す。

マイナンバーは、社会保障・税・災害対策分野の中で、法律や地方公共団体の条例で定められ

た行政手続以外には利用できない点に特徴があります。

マイナンバーの利用範囲

■社会保障

・年金の資格取得や確認給付
・雇用保険の資格取得や確認給付
・医療保険の給付請求
・福祉分野の給付、生活保護など

■税

・税務当局に提出する確定申告書届出害、調書などに記載
・税務当局の内部事務など

■災害対策

・被災者生活再建支援金の支給
・被災者台帳の作成事務など

マイナンバーの取扱いを適切に行うためには?

企業では、税や社会保険の手続で、大企業だけではなく中小企業や、夫婦とパートやアルバイ

トの従業員のみの商店でもマイナンバーを取り扱うことになりますが、マイナンバーは、法令

および条例で定められた目的以外の利用はできません。

適切な利用を行なうルール作りが必要になります。

マイナンバーの場合には、個人情報と比較してみるとより厳格な管理が求められています。

「特定個人情報」は、人事情報データベースにマイナンバーが含まれると、それに該当するた

め次のように適切に管理を行なわなければなりません。

・法令で定められたとき以外には、マイナンバーの提供を求めることができません。

・法令で定められた目的以外には利用することができません。

・必要がなくなった時には廃棄しなければなりません。

・マイナンバーにアクセスできる者を限定しなければなりません。

情報セキュリティポリシーには、マイナンバーに関するセキュリティ対策を定めておかなけれ

ばなりません。

また、人事マニュアルなどで具体的な取り扱いを定め、マイナンバーの取り扱うことも必要に

なります。

なお、外部に委託している企業なども少なくありません。

それは、マイナンバーの取り扱いを厳格に行う必要があるからで、この場合には、外部委託先

と適切な契約を締結しておくことと伴に、定期的に取扱状況を点検・評価することが重要にな

ります。

それは、外部に委託したからといって、責任がなくなるわけではないからです。

マイナンバーについては、マイナンバーに関係するリスクの大きさに応じた対策を講じること

が求められます。

具体的には、行政機関等を対象として、特定個人情報保護評価、いわゆるPIA(プライバシー影

響評価)を実施することです。

番号法(番号法第26条、第27条)では、特定個人情報保護評価について規定していて、

情報提供ネットワークシステムを使用して情報連携を行なう事業者が、特定個人情報の漏え

い、その他の事態を発生させるリスクを分析し、そのようなリスクを軽減するために適切な措

置を講ずるための制度です。

健康保険組合などは、行政機関等以外の者で、情報提供ネットワークシステムを使用して情報

連携を行なう事業者となり、なお、特定個人情報保護評価の実施が義務とされていない事業者

でも、任意に特定個人情報保護評価の手法を用いることにより、特定個人情報の保護の観点か

ら有益だとされています。

情報セキュリティ担当者は、マイナンバーを管理するにあたり、それに関する管理ポイントを

十分に理解しておかなければなりません。

まとめ

マイナンバーの利用範囲は「社会保障」「税」「災害対策」の3つに大きく関わってきます

が、ここで見たように、どの分野でもマイナンバーを行政事務の効率化・適正化が行われれ

ば、大幅な行政コストのカットが見込めるでしょう。

また災害対策分野をはじめ、国民の視点からもメリットの多い制度です。

しかし、マイナンバー制度がこれからどのように活用されていくのかを監視していくことも

重要です。

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