IPアドレスとルーチング/ルーター間パケットルーチングとは?

IPアドレスとルーチング

インターネットでは、そこに接続する各端末に、どんなアドレスを付与するのかという基本的な仕組みが決まっています。

IP(Internet Protocol)アドレスと呼ばれるものです。

ネットワーク相互を接続すルーターめの方法

ルーター同士を接続させ、転送要求のあったパケットの送信先アドレスが自分のネットワーク内・他のネットワーク(ルーター)のどちらにあるのかを判断。

自分のネットワークでなければ、目的の送信先を収容しているルーターにパケットを転送。

情報を受けたルーターが、自分のネットワーク内にある端末にそのパケットを転送する、というのが基本です。

このため、端末を識別するアドレスは、自分が所属するネットワークを識別する部分と、そのネットワーク内での端末を識別する部分とに階層化されたアドレスが用いられています。

郵便を届ける際の、宛先が都道府県、市町村、番地といった住所を表現する部分と特定の個人の名前の部分に分かれているのと同じだと考えて良いでしょう。

インターネットに接続しているコンピュータ同士が相互に通信する場合、一つのアドレスが複数のコンピュータに割り振られていてはどのコンピュータにパケットを届ければよいか判断が付きません。

そのため、一つのコンピュータに必ず一つのアドレスだけが割り振られるようなアドレス管理の仕組みが必要になるのです。

これらのことは、ICANNというインターネットを管理するグローバルな組織に、個々のネットワークを管理している組織がアドレスを申請することによって、ただ一つのネットワークアドレスが、それぞれに付与される様な調整をすることで実現されています。

ネットワークアドレスが異なれば、その傘下にある個々のコンピュータを識別する部分が重複したとしていても、インターネットの中では唯一のアドレスであることが保証されるのです。

ルーター間パケットルーチング

ルーター間でのパケットルーチングのためには、各ルーターにすべてのルーターのネットワークアドレスとそこに至る経路情報を、何らかの方法で保持しておく必要があります。

これは、一般的にルーチングテーブルと呼ばれるもので、ネットワークの数が多くなるに伴い、このルーチングテーブルの規模も膨大になります。

インターネットの拡大と共に、商用のインターネットサービスプロバイダーの出現と相前後し、複数のネットワークの運用管理をある程度のまとまった単位で行なう必要性も出てきました。

そこで、一つの管理組織の下で運営される複数のネットワークをAS (Autonomous System:自律システム) という単位でまとめ、AS間のパケットルーチングの方式を決めることで、インターネット全体にわたるパケットのルーチングを行なう方式が採用されました。

各ASにはネットワークアドレスと同じく、ICANNによってAS番号が振られると同時に、各ASには相互接続專用のルーター(Border Gateway)が配置されます。

これらがAS間専用のルーチングプロトコルであるBGP (Border Gateway Protocol) を使って結ばれるのです。

現在ではISP(Internet Service Provider :インターネット接続事業者)がこのASに相当すると考えて良いでしょう。

AS間のルーチングは、まず二つのAS間にあるゲートウェイルーター間で、自分のAS内にあるネットワークアドレスと、自分を中継して接続可能なASのAS番号及びそのASにあるネットワークのアドレスを交換します。

二つのAS間でこのような接続関係を結ぶことをピアリングと呼びます。

ピアリングをAS間で相互に拡大していくことで、インターネット全体が接続されていることになります。

ピアリングは、あくまで二つのAS間の契約になっています。

どこかで集中的にASの接続全体を調整しているわけではありません。

そのため、インターネット全体の運用や、相互接続性の保証などは、ASらが、互いに協力して行っていくしかない構造になっています。

ASには規模の大きなものから、小さなものまで多種多様にあるのが現状です。

小規模なASでは、複数のASとピアリングして他のASへの転送を行なうほどの設備を持つことは困難になります。

そこでピアリングにはトランジットと呼ばれる接続関係が作られています。

一方のASがもう片方のASに対して、他のASへの接続を依存する関係が許されているのです。

現在、大部分のASがTierlと呼ばれるトランジット専門の大規模なASと接続関係にあります。

このTierlのAS同士が互いにピアリングを組むことによって、インターネット全体の相互接続性が維持されます。

つまり、インターネット接続のための膨大なルーチング情報と、中継のためのトラフィックがTierlプロバイダーに集中することになるのです。

Tierlプロバイダーはこのトランジットのために、特別な高速ルーターと高速回線を用意して対応しています。

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