概要
コンピュータウイルスとは、第三者のコンピュータやプログラムに対して何らかの被害を及ぼすよう作成されたプログラムのことです。
主な機能として以下のような特徴が挙げられます。
その中でも自己増殖機能は特徴的で、この機能のないものはコンピュータウイルスではないと言う専門家もいるほどです。
- 自己増殖機能
感染したコンピュータ内のプログラムを書き換えること。
(もしくはシステム上の機能を利用すること)
他のPCに、自身(ウイルス)をインストールする機能。
- 潜伏機能
悪性機能が実行されるまで、不正な挙動を示さないようにするための機能。
条件として、特定の時刻や一定時間などを条件としていることがある。
- 発病機能
ユーザーの意図しない動作を行う悪性機能。
プログラムやデータの破壊などを行う。
ウェブサイトの閲覧、メールの添付ファイル、USBメモリなどの外部記憶媒体を通じて感染することが多い。
被害者PC内のプログラムを悪性機能が実行されるように書き換えてしまう。
書き換えられたプログラムが実行されてしまうと、ユーザーが意図しない挙動を実行すると共に、ネットワークなどを通じて接続されたPCに対して感染行動を行う。
背景と事例
世界初のコンピュータウイルスは、パキスタン人のアルビ兄弟が1986年に開発したBrainであると言われています。
Brainはフロッピーディスクのブートセクタに感染するもので、対策ソフトなどに検知されぬよう自身を隠蔽する機能を持ったステルス型ウイルスで、メモリ上に常駐するものです。
Brainが行う動作は、ソフトウェアの違法コピーにより感染し、その感染ソフトを起動した際にメッセージ(ウイルス開発者の名前、会社名、連絡先)を表示するだけのシンプルなものでした。
これは、もともとソフトウェアの違法コピー対策として開発されたウイルスであったためです。
当時、違法コピーされたソフトウェアが大変多く出回ったため、Brainへの感染規模が拡大し、Brainは世界的に有名なものになりました。
このプログラムは、自らを「ウイルス」だと名乗っています。
この点も含め、世界初のコンピュータウイルスと言えるでしょう。
現在のコンピュータウイルスと言うと、PC上のデータ消去や自己複製など、ユーザーの意図しない悪意ある操作が行われることが一般的です。
Brainの主な影響は、ボリュームの変更くらいです。
Brainが作られた当時のウイルス配布の目的が、自己主張や愉快犯的なものであったことがわかります。
現在のように金銭目的や情報窃取などを目的としていなかったのです。
現状
コンピュータウイルスの内、1980年代から1990年代に流行したものは、現在ほとんど見られなくなりました。
その背景には、開発者のモチベーションの変化が挙げられるでしょう。
目的が、自己顕示欲的なものから金銭や情報目的に変わってきたのです。
現在報道などで「ウイルス」と表現されているものの多くは、被害者PCをリモート操作することを目的としたものや、インターネットサービスで利用する認証情報などの窃取を目的とした不正プログラムを指すことが多いようです。
しかし、このような表現は本来の意味とは異なります。
この様な表現をしているのは、日本以外には無いかもしれません。