権利・利益を保護する情報の取扱いに関する総論 個人情報に関する権利

 本人の権利・利益を保護するための開示、訂正・追加・削除及び利用・提供の拒否権に関する総論の要求事項が「3.4.4.1 個人情報に関する権利」です。

個人情報の開示、訂正・削除、利用や提供の停止を要求されたら?

 「開示対象個人情報」に関して、本人から利用目的の通知、開示、内容の訂正、追加又は削除、利用の停止、消去及び第三者への提供の停止を求められた場合、「3.4.4.1 個人情報に関する権利」では、「3.4.4.4」~「3.4.4.7」の規定によって、遅滞なくこれに応じることを要求しています。すなわちこれは、開示など本人の権利・利益を保護するための要求事項の総論にあたります。

開示の対象となる個人情報は?

 「3.4.4 個人情報に関する本人の権利」では、事業者が開示、内容の訂正などに応じることができる権限を有している「開示対象個人情報」が、この要求事項の対象となります。

たとえば、A社が顧客にDM(ダイレクトメール)を送るために、宛名などの印刷業務をB社に外部委託している場合、顧客が転居などの理由で住所の変更が必要となった際に、情報訂正の依頼をするのは、顧客情報の内容を訂正する権利を有しているA社であって、B社ではありません。

そのため、顧客から開示などの要求が入ってもB社には情報内容を訂正する権利が無いため、勝手な行動をとることは許されません。このように、本人から利用目的の通知や開示などを求められた際には、自社が求めに応じることができる権限を有しているのか否かを確認する必要があるのです。

開示の対象にならない個人情報は?

 要求事項では、次に該当する場合は、開示対象個人情報ではないとしています。

  • 本人又は第三者の生命、身体又は財産に危害が及ぶおそれのあるもの
  • 違法又は不当な行為を助長し、又は誘発するおそれのあるもの
  • 国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれのあるもの
  • 犯罪の予防、鎮圧又は捜査その他の公共の安全と秩序維持に支障が及ぶおそれのあるもの

「遅滞なくこれに応じなければならない」とは

 本人から利用目的の通知、開示、内容の訂正などの依頼を受けてから、実際に対応を完了するまでの時間については、一概にどのくらいであればよいとは、規格では規定できません。

 しかし、開示対象個人情報が誤っていることによって、事業者にとって好ましくない事象(二次的、三次的なトラブルなど)が起きるかもしれません。

また、時間がかかればかかるほど、その影響はさらに大きくなるかもしれません。

そのため、事業者としては、本人からの求めに対しては、できるだけ速やかに対応することが望ましいといえます。

個人情報保護法との関連

 個人情報保護法には直接相当する条文はありません。

これは、本要求事項は、開示、訂正・追加・削除及び利用・提供の拒否権に関する候の要求事項だからです。

したがって、あえて該当するとなると「第25条 開示」「第26条 訂正等」及び「第27条 利用停止等」のすべてが該当することになるでしょう。

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