各行政組織が個別に管理していた個人情報を一元的に管理するマイナンバー制度

 現在、国民は様々な番号で管理されていますが、その障壁が行政事務の非効率を誘引し、国民の手続きにおける煩雑さを誘引しています。

マイナンバー制度は、それらの課題を解決するための制度です。

リンクされていない様々な番号の存在

 現在、国民には、年兼手帳の基礎年金番号や健康保険証番号、運転免許証番号、さらにパスポート番号、税金を納める場合の納税者番号、住民基本台帳コード、雇用保険や介護保険の番号など、一人ひとりが多くの個別番号をもっています。

これは、国の行政サービスが、税金関係(国税庁)、年金や社会保険(厚生労働省)、住民基本台帳(総務省)、運転免許証(警察庁)、パスポート(外務省)というように省庁の縦割りになっているため、個人情報を管理するための個別番号が数多く存在しているのです。

マイナンバー制度は、各行政組織が個別に番号を割り振って管理していた個人情報を、一つの共通番号によって一元的に管理しようというものです。

マイナンバー制度開始のきっかけ

「消えた年金記録」という事件が、第一次安倍内閣の時代の2007年に起こりました。年金などを管理する当時の社会保険庁が、本人確認を怠ったり、記載ミスなどのずさんな事務処理のため、多くの高齢者が年金を貰う権利を失ったり、本来の年金額より少ない金額しか支給されない事態が発生しました。

しかも、年金番号が5,000万件も宙に浮いて大きな社会問題となり、これを機に社会保険庁は解体されて日本年金機構が誕生し、年金記録をきちんと管理する体制づくりが見直されました。

マイナンバーで年金記録を管理すれば、正しい本人確認ができるため、今後はチェック機能が働いて、こうしたトラブルは避けることができるといわれています。

行政事務の非効率の実態

 現在、市町村の税務担当者は、各機関から提出される情報の個人の識別を氏名住所でしています(名寄せ作業)。

ただし、期中に引っ越しした場合(同じ名前で異なる住所の情報が存在する)や、同姓同名者など、正確かつ効果的な名寄せが困難な状況となっています。

これが、今後、マイナンバー(個人番号)による名寄せを行うことによって、同一人物であることを確実に識別することが可能になります(正確かつ効果的な名寄せが可能になる)。

 また、より正確な所得に応じた税の負担や社会保障の給付を行うことが、マイナンバー制度によって可能になり、民主党政権の時代から「社会保障と税の一体改革」が叫ばれてきましたが、低所得者には税負担を減らし、高所得者には社会保障の給付を減らすという、公平、公正な社会保障の改革につながると期待されています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする