法定調書関係の個人番号について①

給与所得の源泉徴収票で個人番号が必要となる場合 (給)

事業者は、給与等を支払ったすべての者について「給与所得の源泉徴収票」を作成することとされています。

新様式の給与所得の源泉徴収票には、①支払を受ける者(従業員)の個人番号②従業員が扶養している控除対象配偶者及び控除対象親族の個人番号③支払者の個人番号又は法人番号を記載する欄があります。

給与所得の源泉徴収票の使用方法によって、個人番号等の記載方法は異なります。

 

給与所得の源泉徴収票には、本人交付用税務署提出用があります。また、住宅ローンの借入などの場合に所得証明として給与所得の源泉徴収票を交付することがあります。

 

本人交付用の給与所得の源泉徴収票には、①支払を受ける者の個人番号、②従業員が扶養している控除対象配偶者及び控除対象親族の個人番号を記載しますが、③支払者の個人番号又は法人番号は記載しません。

 

源泉徴収票の交付を受けた従業員は、その源泉徴収票を所得税の確定申告で使用することが考えられます。その際に本人確認に関する資料として、その源泉徴収票が利用される予定です。

 

税務署提出用の給与所得の源泉徴収票には、①支払を受ける者(従業員)の個人番号、②従業員が扶養している控除対象配偶者及び控除対象親族の個人番号、③支払者の個人番号又は法人番号の全てを記載します。

 

所得証明用の源泉徴収票には、①から③のいずれの個人番号等も記載してはいけません。

したがって、従業員に所得証明用の源泉徴収票を交付する場合には、個人番号等が記載されていない源泉徴収票を交付するか、個人番号を復元できない程度にマスキングする等の処理をして交付することが必要になります。

 

 

個人番号の取得方法(給)

給与所得の源泉徴収票に記載する従業員などの個人番号は、源泉徴収票を作成するまでに取得すればよいです。

 

 

退職所得の源泉徴収票で個人番号が必要となる場合(退)

事業者は、役員または使用人に退職手当等を支払う際、所得税及び復興所得税を源泉徴収し、原則翌月の10日までに納付することとされています。

事業者は、この際に退職所得の源泉徴収票(税務署提出分)特別徴収票(市町村提出分)を作成します。

退職所得の源泉徴収票及び特別徴収票は、退職手当等を支払った全ての者に対して作成する必要があります。

税務署及び市町村にこれらを提出しなければならないのは、受給者が法人の役員であるものだけで、役員以外の従業員については提出する必要はありません。

したがって、給与所得の源泉徴収票と同様、退職所得の源泉徴収票・特別徴収票についても、事業主が作成するものとしては、税務署及び市町村に提出するもの(法人の役員について)本人交付用所得証明用の3通りが考えられます。

 

税務署及び市町村に提出するものには、①支払を受ける者(従業員)の個人番号、②従業員が扶養している控除対象配偶者及び控除対象親族の個人番号、③支払者の個人番号又は法人番号の全てを記載します。

 

本人交付用には、①支払を受ける者の個人番号、②従業員が扶養している控除対象配偶者及び控除対象親族の個人番号を記載しますが、③支払者の個人番号又は法人番号は記載しません。

 

所得証明用には、①支払を受ける者(従業員)の個人番号、②従業員が扶養している控除対象配偶者及び控除対象親族の個人番号、③支払者の個人番号又は法人番号の、いずれの個人番号等も記載してはいけません。

 

 

個人番号の取得方法(退)

退職所得の源泉徴収票に記載する個人番号は、法定調書に記載する予定のある個人番号として、採用時の利用目的の通知に記載し、提供を受ける事が考えられます。

 

 

退職所得の受給に関する申告書への個人番号の記載

退職手当等の支給を受けるひとが、退職所得控除額の計算の基礎となる勤続年数等を記載し、退職手当の支払者に提出する書類が、退職所得の受給に関する申告書です。

この申告を行わない場合、退職所得手当等の金額につき一律20.42%の税率による源泉徴収が行われることになります。

 

退職所得の受給に関する申告書は、退職手当の支払者(事業者)が提出を受け、保管しておき、税務署から特に提出を求められた場合に提出することとなっています。

退職所得の受給に関する申告書の新様式には、受給者の個人番号を記載する欄が設けられています

支払者(事業者)は、退職所得の受給に関する申告書の提出を受けることにより個人番号の提供を受ける場合、受給者の個人番号カード等により、本人確認を行う必要があるとされています。

支払者(事業者)は、適切な安全管理措置の下で、個人番号が記載された退職所得の受給に関する申告書を保管しておくこととなります。

退職所得の受給に関する申告書の保存期限は、給与所得者の扶養控除等(異動)申告書と同様その申告書の提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間となっています。

したがって、その期間が経過した場合は、個人番号が記載された退職所得の受給に関する申告書を速やかに廃棄する必要があります。

 

まとめ

税務分野に関する様々な書類に個人番号を記載することが予定されています。

ここでは、法定調書関係の書類について取り上げました。

法定調書関係の書類で個人番号の記載が予定されているものには、

  1. 給与所得の源泉徴収票
  2. 退職所得の源泉徴収票
  3. 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  4. 不動産の使用料等の支払調書・不動産の讓受けの対価の支払調書・不動産の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
  5. 配当、剰余金の分配及び基金利息の支払調書

があり、ここではA・Bの書類について取り上げています。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする