事業者は、マイナンバー制度の開始によって、従業者等のマイナンバー(個人番号)を、番号法第9条で規定された事務で処理を行うことになります。
マイナンバー制度における事業者の役割
このマイナンバー(個人番号)を取り扱う者として、個人番号利用事務実施者と個人番号関係事務実施者が、番号法第9条には規定されています。
個人番号利用事務実施者は、個人番号を利用する事務の実施者(番号法第9条1項、2項の規定)と規定されており、個人番号利用事務の実施にあたって個人番号利用事務実施者と本人(国民)の間に入り、補助的に個人番号に係る事務を行うもの(番号法第9条3項の規定)を個人番号関係事務実施者と規定しています。
すなわち、行政機関や自治体等、民間企業の健康保険組合や企業年金の担当部署等のマイナンバー(個人番号)を利用して、税分野や社会保障分野の事務を行うものを個人番号利用事務実施者といい、従業員の個人番号を税分野や社会保障分野に関連する書類に記載し、自治体等に提出する事務を行う民間企業等を個人番号関係事務実施者といいます。
なお、民間企業における代表的なマイナンバーの利用範囲は、以下のとおりです。
- 雇用保険の加入等手続き(特定個人情報:「雇用保険被保険者資格取得(喪失)届」)
- 健康保険及び厚生年金の加入等手続き(特定個人情報:「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得(喪失)」届)
- 給料から源泉徴収し、税金の納付(特定個人情報:「給与所得の源泉徴収票」、「退職所得の源泉徴収票」)
- 個人に講演や原稿の執筆を依頼し、報酬を支払う場合の源泉徴収(特定個人情報:「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」)
上記のことから、マイナンバー(個人番号)の取得先は従業者だけに限らず、個人事業主(支払調書の作成)なども該当する場合があるので注意が必要です。
マイナンバー制度における企業対応
前述したようにマイナンバー(個人番号)の利用範囲は、番号法第9条で制限されています。
したがって、マイナンバー(個人番号)の目的外利用を防止する処置を含め、様々な管理が要求されます。なお、以下に挙げるものが主要な管理となります。
- マイナンバー(個人番号)の取得前の利用目的の通知又は公表(個人情報保護法第18条)
- マイナンバー(個人番号)の取得時の本人確認(番号法第16条)
- マイナンバー(個人番号)への安全管理措置(番号法第12条又は第33条)
- マイナンバー(個人番号)の委託先の管理(番号法第10条及び第11条)