雇用保険に関する書類のうち、事業主が従業員から個人番号を収集した上で様式に記入し、ハローワークに提出することが必要とされる書類について説明します。
雇用保険被保険者資格取得届
1.概要
事業主は、雇用保険被保険者資格を有する労働者(①1週間の所定労働時間が20時間以上であること、②31日以上の雇用見込みがあることの2つの要件を満たす労働者は、原則として、全て雇用保険の被保険者となる)を雇用した場合、当該労働者が雇用保険の被保険者となった旨をハローワークに届け出る義務があります。
雇用保険の加入手続には、新たに雇用保険の適用事業所として事業所単位で届出をする場合と、労働者単位で個別に加入手続をする場合があります。
労働者単位で加入手続をする場合としては、事業主が労働者を採用する場合の他に、労働者が雇用保険被保険者の資格要件を満たすようになった場合があります。
加入手続は、事業主が、労働者の採用月の翌月10日までに、雇用保険被保険者資格取得届をハローワークに提出して行われます。
2.個人番号の取得
雇用保険被保険者資格取得届には、被保険者番号を記載する個所があります。
被保険者番号は、ハローワークが労働者の雇用保険関係を把握するために労働者ごとに割り当てている番号であり、労働者が転職をしても同一の番号が用いられます。
そのため、事業主は、転職者の雇用保険の加入手続をする場合、一般に、前職の雇用保険被保険者証の提出を受けて被保険者番号を確認し、それを雇用保険被保険者資格取得届に記入することが行われています。
個人番号は、前職の雇用保険被保険者証には記載されていないため本人から直接取得する必要があります。
この場合の取得方法としては、①あらかじめ雇用保険被保険者資格届に用いることを、就業規則等に記載して、②採用時に本人から取得して行われます。
3.雇用保険被保険者資格取得届提出後の手続
ハローワークに雇用保険被保険者資格取得届を提出すると、ハローワークから、
- 雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届の用紙
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知言(事業主通知用)
- 雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)
- 雇用保険被保険者証
が一体となった(それぞれキリトリ線で切り取れるようになっている)書類の交付を受けます。
この時点でA・Dに個人番号は記載されていません。
事業主は、このうち、C・Dを従業員に交付し、A・Bを保管します。
アの雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届の用紙には、個人番号を記載する欄がありますが、資格喪失届・氏名変更届の作成時まで個人番号を記載する必要はないので、通常の書類の保管方法により保管することが可能です。
まとめ
個人番号法の施行により、社会保障分野に関する様々な書類に個人番号を記載することが予定されています。
ここでは、社会保障分野の中でも、事業者が取り扱うことの多い、雇用保険に関する書類、厚生年金に関する書類、健康保険に関する書類の中の雇用保険に関する書類について説明しています。
雇用保険に関する書類の中でも、事業主が従業員から個人番号を収集した上で様式に記入し、ハローワークに提出することが必要とされる以下の書類
- 雇用保険被保険者資格取得届
- 雇用保険被保険者氏名変更・喪失届
- 高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付申請書
- 育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書
- 介護休業給付金支給申請書
これらについて、それぞれの個人番号が必要となる場合と対応を確認しましょう。