マイナンバー制度の目的
マイナンバー制度は、「①行政の効率化」「②国民の利便性の向上」「③公平、公正な社会の実現」といった目的の元に導入されています。
①行政の効率化
税金、社会保障、災害対策の分野の行政手続きにおいて、個人番号を利用することで情報管理を効率化することができます。
- 行政機関や地方公共団体等において、個々に行っていた情報の照合・転記・入力等に要する時間や労力が削減される。
- 業務連携が進み、作業の重複等の無駄が削減される。
②国民の利便性の向上
行政手続の簡素化が行われることにより、国民の手続負担を軽減することが目的です。
- 添付書類の削減等、手続きの簡素化により、国民の負担が軽減される。
- 行政機関が持つ自分の情報の確認のほか、行政サービスのお知らせを受け取ることもできるようになる。
③公平、公正な社会の実現
より大きな視点で見た場合、行政手続が効率化されてより適切に実施されれば、正確な所得把握のもとに税金の徴収、社会保障給付、災害対策給付が適正化され、公平・公正な社会の実現につながります。
- 正確な所得や他の行政サービスの受給状況が把握しやすくなり、適切な課税、不正受給の防止、援助が必要な人へのきめ細かな支援が可能に。
個人番号には多くの個人情報が紐付けられているため、漏えい等が起こった際には個人の被害が大きくなることがあり得ます。
これを回避するための安全かつ適切な個人番号の取扱いを定めることも重要な目的といえます(以上、番号法1)。
なお、個人番号の今後の利用範囲として、税金社会保障災害対策以外の分野にも利用される可能性があります。
個人番号(マイナンバー)とは
個人番号(マイナンバー)とは、マイナンバー制度の目的のために住民票を有する全ての人に対し住所地の市町村長が指定する個別の番号です。
個人番号の特徴として、下記が挙げられます。
- 悉皆性(しっかいせい):住民票を有する人全員に付番されます。
- 唯一無二性:1人1番号で重複のないように付番されます。
- 視認性:民(個人)民(企業)官(行政)の関係で流通させる目に見える番号です。
- 基本4情報との関連付け:基本4情報(住所、氏名、生年月日、性別)と関連付けて使用されます。
政手続の効率化とは
マイナンバー制度による行政手続の効率化について具体的に見ていきましょう。
個人の正確な特定による情報管理と、円滑な情報連携が行われることによって行政手続きが効率化されるのです。
個人の正確な特定による情報管理
行政機関では、個人情報を取得・管理するにあたり、どの個人に関する情報かを正確に特定する必要があります。
従来は、基本4情報(住所、氏名、生年月日、性別)によって特定していました。
しかしこの場合、
①行政機関が把握している氏名と異なり取得した個人情報の氏名では旧字体が使用されている、
②婚姻により姓が変更された、
③転居したのに住民票が変更されていない、
④コンピュータが住所の「1丁目2番地3号」と「1-2-3」を異なるものと認識する、
といった事情により個人の特定に困難や負担を伴うことがありました。
一方、マイナンバー制度では、1人1人に割り振られた重複のない個人番号(唯一無二の番号)によって個人を特定するので、上記のような事情に関わらず、迅速・正確に個人の特定ができる様になったのです。
また、個人の正確な特定は、行政機関が個人情報を取得する場合のほか、課税、社会保障給付、被災者支援の決定など様々な場面で必要であり、個人番号がその効率化に役立つものと考えられます。
円滑な情報連携
行政機関が他の行政機関の保有している個人情報を照会して取得する場合(情報連携)にも、正確に個人を特定しなければ、誰の情報が照会されているのか明らかにならず、手続が円滑に進みません。
マイナンバー制度では、個人番号等(情報提供ネットワークシステムでは、個人番号に対応する符号(連携符号)が使用されます)により迅速かつ正確に個人の特定を行うことができるので、情報連携の円滑化にも役立つのです。
国民の行政手続負担の軽減とは
マイナンバー制度による国民の行政手続負担の軽減とは、行政手続の簡素化による国民の負担軽減などがあげられます。
具体的には、国民が各種行政手続きの申請等を行うにあたり、従来は自ら各行政機関を回って書類を取得、提出する必要がありました。
これを情報連携により行政機関が他の行政機関に照会して情報を取得してくれるため提出不要になることがあるのです。
こういった行政手続の簡素化による国民の負担軽減がされています。
民間企業・事業者の役割
マイナンバー制度において、民間企業・事業者が担う役割として以下が考えられます。
民間企業・事業者(以下、事業者)は、本人確認を行ったうえで従業員や取引先である個人等の個人番号を収集し、特定個人情報として行政機関へ提出、適切に管理・廃棄することが求められます。
個人番号を利用したより利便性のある社会の実現につき、一翼を担う存在であるということができます。