マイナンバー制度の実践 対応方針の検討

マイナンバーを扱う部署

マイナンバーに関わる事務について、どこの部署でおこなわなければならないといった決まりはありません。

事業者毎の事情に応じ、適切と思われる部署・担当者がおこなうことになります。

個人番号の管理保管は総務部で、経理部や人事部に番号法の範囲内の事務について利用目的を特定・通知したうえで渡して利用するといったことも可能です。

保管の環境などを作業が重複しないよう配盧した上で決るのがよいでしょう。

いずれにしても、事務取扱担当者を明確にしておく必要があります。

事務取扱担当者の教育・監督

事務取扱担当者の教育に関しては、自社内で行うことが難しい場合、マイナンバー制度に関する研修などに参加することが考えられます。

代表者が研修に参加し、各担当者にレクチャーするという方法も可能です。

いずれの方法でも、個々の事務取扱者に対して教育がなされる必要があります

事務取扱担当者の監督の方法として、誓約書を提出させる方法が考えられます。

誓約書に個人番号の取扱いについての教育を受けたことを明記しておいてもよいでしょう。

誓約書の内容としては、秘密保持義務・特定個人情報の取扱い・退職時及び退職後の義務などが考えられます。

事務取扱担当者の指名を拒否された場合

個人番号の収集・保管等を行う事務取扱担当者を指名したが、責任が重いと拒否されたといった場合、従業員に業務を命じること自体は有効な業務命令であるため、業務命令に従おうとしないことは業務命令違反となります。

しかし、懲戒処分をするには、相当性の判断も必要となります。

  • 担当者に指名することにより従業員が受ける不利益の考盧
  • 過度な負担となっていないか、その指名が適当であるかの検討

これらを行ったうえで、業務拒否に正当な理由がなく、担当業務として指名することが適当である場合、業務命令違反を理由とした懲戒処分ができる場合もあります。

懲戒処分を科してまで拒否する業務を行わせたとしても適正な業務遂行が期待できないことから、他の者に業務を担当させるのが妥当と考えます。

基本方針の策定

番号法及び個人情報保護法等関係法令並びに特定個人情報の適正な取り扱いに関するガイドライン及び主務大臣のガイドライン厳守する内容の基本方針が必要であるとされています。

自社の実情に応じて策定することが考えられます。

最低限、下記内容等についての記載があればよいでしょう。

事業者の名称

関係法令・ガイドライン等の遵守

安全管理措置に関する事項

質問および苦情対応の窓口

社内規程の整備

マイナンバー制度の導入にあたって、下記内容を定めることに就業規則が用いられることが考えられます。

  • 個人番号利用目的の通知
  • 個人番号の提出など取扱いに関するルール
  • それに違反した場合の罰則(懲戒処分)

利用目的を従業員に通知するに際して、就業規則への記載以外に従業員に周知する方法があれば、必ずしも就業規則に利用目的を記載する必要はありません。

就業規則は従業員に周知しなければならないものであるため、就業規則に利用目的を記載する方法が、従業員に対する利用目的の一般的な通知方法になると考えられます。

個人番号の取扱いに関する懲戒処分は就業規則に規定しておく必要があります。

「会社の定める諸規程に違反した場合」というような懲戒事由が既に定められているのならば、就業規則は改訂せず個人番号に関連する規程を作成し、これに違反した場合は懲戒処分をするという運用も可能です。

個人番号導入に際し、就業規則を改訂する場合には、従業員代表等からの意見聴取、労基署への届出、従業員への周知といった通常の就業規則の改訂手続きが必要になります。

まとめ

ここでは、具体的な対応についてみてきました。

実際にどの従業員が個人番号を扱う業務を行うのか、その際にしなければならない事・考慮しなければならない事はどんなことなのか把握しておきましょう。

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