各産業分野の事業者を所管する各省庁が個人情報保護法の第8条に基づき、21の産業分野について33の個人情報保護を実施するためのガイドラインを策定しています。
プライバシーマークの取得と個人情報保護ガイドラインとの関係
「国は、~事業者等が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るための指針の策定その他の必要な措置を講ずるものとする」と、個人情報保護法の第8条では定めています。
個人情報保護法は基本的な法律なので、各産業分野特有の個人情報保護に関する遵守事項は規定していません。
したがって、この8条に基づいて策定される各省庁のガイドラインが、産業分野に関する特有の個人情報を保護するための遵守事項ということになります。
このあと第4章で詳しく述べますが、プライバシーマークの認定基準である「JIS Q 15001:2006 個人情報保護マネジメントシステム要求事項」では、「当該法令、国が定める指針ならびに規範が遵守できる状態にしなければならない」と規定しており、個人情報の取扱いに関する法令、国が定める指針その他の規範を特定し、事業者内で常に参照できる手順を確立することを推奨しています。
したがって「各省庁の個人情報保護のガイドライン」は「国が定める指針」に該当しますので、プライバシーマークの取得準備を進める上では、必ず含めなければなりません。
なお、以下にあげるものが、それぞれの産業分野別の省庁の役割になります。
●厚生労働省
一般医療分野、医療の研究分野、雇用管理の一般・健康情報、福祉分野、職業紹介等(一般)、労働者派遣(一般)、企業年金及び労働組合に関する個人情報のガイドラインを管轄
●文部科学省
医療の研究分野、及び教育分野に関する個人情報のガイドラインを管轄
●経済産業省
医療の研究分野、金融・信用の信用分野、及び経済産業分野に関する個人情報のガイドラインを管轄
●金融庁
金融・信用の金融分野に関する個人情報のガイドラインを管轄
●総務省
情報通信分野の電気通信、放送、郵便、信書便に関する個人情報のガイドラインを管轄
●国土交通省
雇用管理の船員、職業紹介の船員、労働者派遣の船員及び国土交通分野に関する個人情報のガイドラインを管轄
●国家公安委員会
警察分野に関する個人情報のガイドラインを管轄
●法務省
債権管理回収業分野を含む法務分野に関する個人情報のガイドラインを管轄
●外務省
外務分野に関する個人情報のガイドラインを管轄
●財務省
財務分野に関する個人情報のガイドラインを管轄
●農林水産省
農林水産分野に関する個人情報のガイドラインを管轄
●防衛省
防衛分野に関する個人情報のガイドラインを管轄
以下の図が、それぞれが現行のガイドライン及び告示ならびに指針となっています。
個人情報保護法の主管
個人情報保護法は2009年9月1日に消費者庁へ移管されました。これは「消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律」に基づくものです。
法律の施行から内閣府国民生活局企画課個人情報保護推進室で行われていた個人情報保護の推進に関する事務は、この移管によって消費者庁企画課個人情報保護推進室でおこなわれることになりました。
消費者庁とは、消費者行政を一元化するために発足した「消費者を主役とする政府の舵取り役」です。
もっとも重要な使命は「消費者の利益の擁護及び増進」であり、消費者行政に関連する法律の所管や中央省庁及び地方自治体の司令塔としての取り組みを「安心安全な市場」、「良質な市場」の実現のために行います。
その中に個人情報保護の推進も含まれています。
具体的には、特定のテーマについて調査審議するために部会及び専門調査会を設置します。
消費者委員会の中で審議されたうえで設置が決定される部会及び専門調査会ですが、その中には「個人情報保護専門調査会」があります。
個人情報保護専門調査会が審議するのは、内閣総理大臣が作成する個人情報の保護に関する基本方針の案であり、個人情報の適正な取扱いの確保に関する事項についてもあわせて調査審議します。
なお、ここで紹介している各省庁のガイドラインについても、消費者庁のホームページにリンクのページがあります。最新の情報を参照する時に役立ちます。