顧客からの「問い合わせ」での注意

備える必要のある顧客からの問い合わせやクレーム

「私の個人情報を削除してください」という依頼が顧客からの問い合わせやクレームで、もっ

とも多いと思われます。

ですので、これを対処するために準備が必要となります。

そのためには、実務上どうするのかを社内で決めておきます

たとえば、お客さまから「以前に教えた携帯電話の番号を削除してください」という

問い合わせがきた場合の回答をあらかじめよういしておくのです。

また、問い合わせやクレームや対応する法律上の備えとして、

以下の項目を「本人の知り得る状態」に置かなければならないとされています。

また、これは、本人の求めに応じて回答する場合を含みます。

会社名(個人事業主であれば氏名)

利用目的

次項で説明する開示・訂正等の手続き

苦情の申し立て先など

「本人の知り得る状態」とは、問い合わせ窓口を設け、

問い合わせがあれば口頭や文章で回答できるよう体制をととのえておくことなどの対応を意味します。

また、これは、本人の求めに応じて回答する場合を含みます。

例をあげると、ホームベージに問い合わせ先のメールアドレスを明記すること、パンフレッ

トを配布する問い合わせがあったときに即座に回答できるようにしておくなどの対応をする

ことです。

よくホームページに①~④の記載があり、これは個人情報保護法の定めに基づいてと記載され

ているのです。「当社お問い合わせ窓口へお申し付けください、こちらの電話番号に、あるい

はこのメールアドレスにお願いします」というのがこれにあたります。

「答える義務」がある顧客からの問い合わせやクレームへの対応法

法律上、「答える義務があるもの」と「答える義務のないもの」問い合わせやクレームにはあります。

3つが「答える義務があるもの」になり、以下です。

開示:どんな保有個人データを持っているか本人から保有する個人データを開示を求める請

求を受けたとき聞かれた場合は開示しなければいけません(開示しなくてもよい例外がありま

す)。

訂正:保有個人データが事実でない場合、訂正請求があった場合は訂正の請求に応じて当該

保有個人情報の訂正をしなければなりません。

利用停止:本人から利用停止や第三者提供の停止の申立てがあった場合に「目的外で利用さ

れている場合」「適正取得違反の場合」「第三者に勝手に提供している場合」は、

顧客は個人情報の利用の停止に応じなければなりません。

前項で「以前に教えた携帯電話の番号を削除してください」というクレームを例にしました

が、上記の場合に「利用停止」に該当していなければその個人情報を削除する義務ありません

なので、上記以外のクレームには、対応する義務は法的ないのです。

しかし、そうしたクレームがきた場合にはトラブルになる場合が多いため、法的義務はあり

ませんがその個人情報を削除する会社が多いのが現状です。

個人情報の開示や利用停止を本人が請求できるのか?

「個人情報」、「個人データ」、「個人情報データベース等」、そして「保有個人データ」とい

う4つの法律上の概念をみてきました。

「保有個人データ」とは、「開示や利用停止等の対象となる個人データ」のことをいいます。

たとえていえば、あなたがインターネットを通じてA社から商品を購入したとします。その場

合、あなたは販売先のA社にあなたの個人情報(氏名・住所・電話番号・メールアドレスな

ど)を提供することとなり、この場合の個人データは、開示や利用停止の請求が本人から行え

ることになっています。

この場合、あなたはA社に対して「私のどんな個人データを持っていますか」と開示の請求

行えます。しかも、その個人データが間違っていた場合は、訂正の請求をすることができます

また、目的外で利用されているときや、その情報が不正な方法で取得された場合には、利用の

停止も請求することができます

ITベンダー会社はネットを介してシステムなどの提案や開発をして、コンサルティングを行う

仕事がらさまざまな情報を持っています。

あるITベンダー会社あるとします、そのITベンダーの顧客の情報であれば、自分の顧客から開

示請求があった場合、開示の義務があります。

この請求の対象となる個人データが「保有個人データ」です

また、ITベンダーの中には、取引先の企業が持っている顧客情報を預かるサービスだけを

提供するところもあります。

B社がA社の顧客情報を預かっている場合、B社に開示請求をおこなってもB社には開示はでき

ません。

開示ができるのはA社のみです。B社はただ預かっているだけだからです。

つまり、B社が預かっている取引先のデータは「保有個人データ」にはなりません。

自分が開示してもいい権利を持っている個人データのことが、保有個人データになります。

個人情報がコンセプトで、その個人情報をデータベース化した個人情報のことを個人データと

呼びます、個人データの中でも開示や利用停止等にあたるもので個人データが保有個人データです。

自社の顧客に対して保有個人データの「開示・公表などの義務」

個人情報取扱事業者には「公表・開示などの義務」という義務があります。

保有個人データに関しては、本人から請求があれば、開示・公表の義務がありますが、

そのなかでも、開示の義務がない場合がある3つ定められています。

本人、及び誰かの生命・身体・財産、その他の権利利益を害する恐れがある場合

個人情報取扱事業者の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす恐れがある場合

法令違反する場合

「私は犯罪のブラックリスト、に載っているのか教えてほしい」とか、

「暴力団等のリストに載っているかどうかを教えてほしい」なと、

問い合わせがあった時は、どうすればいいのでしょうか。

このような、ブラックリストなどの場合は、通常は①か②になるので、法的な開示義務はあり

ません

まとめ

これまで、顧客からの問い合わせに対する義務について見てきましたが、

ポイントとしては、

問い合わせがあったときにすぐに、知りえる状態にしておくことです。

ホームベージに掲載しておく

パンフレットを配布する

また、開示・訂正・利用停止の問い合わせに対しては、「答える義務」がありそれ以外のクレーム

については、法的には応じる義務はありません。

そして、取引先から預かっているデータは「保有個人データ」にはなりません

なので、開示・訂正・利用停止をおこなうことはできません

ただ、下記3つについては、開示の義務はありません

誰かの生命・身体・財産、その他の権利利益を害する恐れがある場合

会社の業務の適正な実施に著しい支障を及ぼす恐れがある場合

法令に違反する場合

以上のことをふまえ、適切な顧客対応のために準備しておくことをおすすめします。

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