特定の機微な個人情報の取得、利用及び提供の制限

「特定の機微な個人情報」とは、センシティブ情報を指します。個人情報の中でも最も保護すべき情報であり、「個人の生き方・生活・生存の基本的内容を示す情報」です。

制限される個人情報の対象は?

 取得、利用及び提供する内容(してはいけない内容)に関する要求事項が、「3.4.2.3 特定の機微な個人情報の取得、利用及び提供の制限」です。

規格要求事項では、その具体的例示として「思想、信条及び宗教に関する事項」「人種、民族、門地、本籍地(所在都道府県に関する情報を除く)、身体・精神障害、犯罪歴、その他社会的差別の原因となる事項」「勤労者の団結権、団体交渉及びその他団体行動の行為に関する事項」「集団示威行為への参加、請願権の行使、及びその他の政治的権利の行使に関する事項」「保健医療及び性生活」をあげています。

上記例示以外の「機微な情報」についても、「次に示す内容を含む~」と規定しているので、同様に制限するべきでしょう。

例外事項について

 また、個人情報保護法の「第16条 利用目的による制限」に規定された、以下の同意を必要としない利用の条件と同様の内容が、規格要求事項では「明示的な本人からの同意」と並んで、本要求事項の適用されないケースであると規定しています。

  • 法令に基づく場合
  • 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
  • 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき
  • 国の機関若しくは地方公共団体又はその委託を受けた者が法令の定める事務を遂行することに対して協力する必要がある場合であって、本人の同意を得ることにより当該事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき

 例として、従業者から入手する「健康診断書」などの情報は「特定の機微な情報」に該当します。

ただし、法令に特別の規程もあり、また従業者の健康状態の管理など事業者にとって必要不可欠な情報であるため、明示的な同意を必要とせず、取得及び利用できる情報にあたります。

また「本人と明示的な同意」については「JIS Q 15001:2006 解説 3.4.3」ではあくまでも書面による本人の同意のことを指しており、黙示的な同意は認められないとしていることから事業者の恣意的な判断による暗黙の了解は、規格では不適合となります。

個人情報保護法との関連

 2015年に改正される個人情報保護法に追加される条項が「3.4.2.3 特定の機微な個人情報の取得、利用及び提供の制限」では該当します。

その条項が該当するのが、第十七条(適正な取得)の2項に追加される要配慮個人情報の取扱です。

条文では3.4.2.3と同様に、「個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、要配慮個人情報を取得してはならない」と規定されていて、人の差別につながるようなセンシティブな情報の取扱に言及しています。

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