個人番号関係事務を委託する場合には? 委託時の監督・契約・再委託

個人番号関係事務を他の事業者に委託する場合の措置

事業者が個人番号関係事務を他の事業者に委託する場合には、番号法に基づいて自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が委託先でも講じられるように、必要かつ適切な監督を行わなければならないと番号法にて定められています。(番号法11)

委託先に対する監督

個人番号関係事務の委託先に対する必要かつ適切な監督として、監督すべき事項の内容には以下の内容が含まいれています。

  1. 委託先の適切な選定
  2. 委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約の締結
  3. 委託先における個人番号の取扱状況の把握

これらの事項を含めて、必要かつ適切な監督を行わなければなりません。

委託先の適切な選定・委託先における個人番号の取扱状況の把握における確認事項として具体的には、委託先の設備、技術水準、従業者に対する監督・教育の状況、その他委託先の経宮環境等が挙げられます

委託先との契約条項

個人番号関係事務の委託先に安全管理措置を遵守させるために必要な契約を締結するにあたって、契約に盛り込む条件の内容として、以下の内容を盛り込まなくてはなりません。

  • 秘密保持義務
  • 事業所内からの特定個人情報の不必要な持出しの禁止
  • 特定個人情報の目的外利用の禁止
  • 再委託の条件
  • 漏えい事案等が発生した場合の委託先の責任
  • 委託契約終了後の特定個人情報の返却又は廃棄
  • 従業者に対する監督・教育
  • 契約内容の遵守状況の報告

これらのほかに、個人番号を取り扱う従業者の明確化、委託者が委託先に対して実地の調査を行うことができる旨の規定等を盛り込むことが望ましいとされています。

再委託

個人番号関係事務の受託者が再委託を希望する場合、委託者の許可を得た場合に限り、受託した個人番号関係事務の全部又は一部を再委託することができると番号法 第10条第1項にて定められています。

事前の再委託の許諾

再委託を行う際に委託者の許可が必要なのは、再委託先が十分に安全管理措置を講ずることができる適切な業者であるかどうかを委託者が確認する必要があるためです。

そのため、再委託の許諾は、委託契約締結時ではなく再委託の時点でなされることが原則となります。

委託契約の締結時点で再委託先となる業者が特定されている場合には、当該業者が個人番号の安全管理措置を講ずる十分な能力があると確認できること、実際に再委託がなされたときは委託者に対しその旨の報告をし、再委託の状況について委託先が委託者に定期的に報告するとの合意がなされていることを条件として、あらかじめ再委託の許諾をすることができると解されます。

再委託先に対する監督

事業者が個人番号関係事務を委託する場合、「委託を受けた者」に対する「必要かつ適切な監督」を行わなければならないと番号法11で定められています。

「委託を受けた者」とは、委託者から直接受託した事業者を指します。

たとえば委託者→A社→B社→C社と順次委託がなされた場合にあっては、委託者による「必要かつ適切な監督」の内容に、委託先A社が再委託先B社に対し必要かつ適切な監督が行われているかどうかの監督も含まれます。

委託先A社においても、再委託先B社が再々委託先C社に対し必要かつ適切な監督が行われているかどうかの監督を行うことが必要になります。

委託者は委託先A社に対する直接の監督義務のほか、再委託先B社、再々委託先C社に対しても間接的な監督義務を負うこととなり、委託先A社や再委託先B社による監督状況を確認せずに放任することは認められません。

まとめ

個人番号関係事務を委託する場合について見てきました。

個人番号関係事務を「委託」する場合、自らが果たすべき安全管理措置と同等の措置が委託先でも講じられるよう、必要かつ適切な監督を行わなければなりません。

どのような場合にその監督責任が生じるのか、「再委託」時における責任の所在など、番号法の根拠になぞらえて確認していきましょう。

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