マイナンバー制度の実践  制度開始に向けた主な準備と関係業務の洗出し

民間事業者の対応スケジュール

マイナンバー制度の導入は以下のようなスケジュールで順次導入が進んできました。

平成27年10月~

国民への個人番号の通知の開始

平成28年1月~

順次、個人番号利用の開始

個人番号カードの交付の開始

平成29年1月~

国の機関間での情報連携の開始

平成29年7月目途~

地方公共団体・医療保険者等との情報連携も開始

平成27年10月から国民に個人番号が通知され、民間事業者は、従業員等の個人番号を取得することが可能となりました。

個人番号カードは、平成27年10月に送付される個人番号通知カードに同封された個人番号カード交付申請言を提出することで交付を受けることができます。

民間事業者が、従業員の個人番号カード交付申請をとりまとめることも可能とされています(「民間事業者の対応」(平成27年8月版)等)。

平成28年1月から個人番号の利用が始まり、民間事業者は申請言・申告書・調書等に順次番号を記載して提出等することになりました

制度開始によって必要となった準備

一般的な(金融機関以外の)企業の場合、制度開始に伴い以下のような準備が必要となりました。

1.マイナンバー制度の対象となる業務の洗出し

① 国税分野及び社会保障分野における個人番号の記載が必要な書類の確認

② 個人番号収集対象者の洗出し(従業員等、取引先等)

2.対応方針の検討

① 中小規模事業者に該当するかの確認、該当する場合は特例を利用するかの確認

② 個人番号を取り扱う部門の確認、取扱担当者の確認(教育・研修)

③ 社内規程の整備

④ 各書類における本人確認(身元確認、番号確認)の方法の検討

⑤ 区域管理についての検討(どこでどのように保管するか)

⑥ 漏えい防止のセキュリティ対策の検討

⑦ 個人番号収集スケジュールおよび収集方法の確認

3.個人番号の収集対象者への周知、通知(公表)

① 個人番号に関する方針の周知(従業員には、教育・研修)

② 個人番号収集方法、スケジユールの周知

③ 各書類ごとの利用目的の通知(公表)

4.委託先・再委託先の監督等

① 委託先の選定

② 委託先との契約の整備

③ 委託先・再委託先に対する監督方法の確認

対象となる業務の洗出し

個人番号を利用できる範囲は、番号法に定められた通り限定されています(番号法9)。

  • 民間の事業主が個人番号を利用できる範囲

主に番号法第9条第3項の範囲

(「第1項又は前項に規定する事務の処理に関して必要とされる他人の個人番号を記載した書面の提出その他の他人の個人番号を利用した事務」)

  • マイナンバー制度の対象となる業務の洗出しの対象となる業務

法令又は条例の規定により、行政機関に提出する書類について、個人番号を記載して提出しなければならないとされている書類の作成、提出業務

個人番号を記載して提出しなければならない書類

番号法の施行によって様式の変更が予定されている書類は多岐にわたります。しかし、民間企業での作成頻度が多いものはある程度絞られます。

法令又は条例の規定により、個人番号を記載して提出しなけれぱならない書類には、税務関係書類社会保障関係書類があります。

  • 税務関係

給与所得者の扶養控除等(異動)申告害、給与所得の源泉徴収票に代表される源泉徴収事務に係る書類

  • 社会保障関連

社会保険や雇用保険の申請・届出に関するもの

個人番号の収集対象者

一般企業において、個人番号の収集対象者は、主に給与の支払いがある従業員その扶養親族になります。

従業員の雇用形態については、アルバイト、パート、契約社員を問わず、雇用契約関係があり、給与の支払がなされているかどうか社会保険の適用がある場合には、個人番号の収集が必要となります。

派遣社員については、派遣社員を雇用する派遣元が収集するため、派遣先による収集は不要です。

税務分野の支払調書の発行がある場合は、取引先に関しても個人番号の収集対象になります。

まとめ

法令又は条例の規定によって個人番号を記載して提出しなければならないとされる書類が何なのかを把握しておく必要があります。

個人番号を収集しなければならない対象が誰なのかも改めて把握しておきましょう。

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