厚生年金保険に関する書類と個人番号②

厚生年金保険に関する手続きにおいて個人番号が必要となる場合と対応(厚)

従業員に賞与を支給したときの手続「被保険者賞与支払届」

賞与についても厚生年金保険の毎月の保険料と同率の保険料を納付することになっています。

事業主が被保険者へ賞与を支給した場合には、「被保険者賞与支払届」を、支給日より5日以内に、日本年金機構の事務センター又は管轄の年金事務所に提出します。

新様式の「被保険者賞与支払届」には、個人番号の記載欄があります。

 

 

従業員が産前産後休業・育児休業を取得したときの手続

産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届.育児休業取得者申出書/終了届

産前産後休業期間は、健康保険・厚生年金保険の保険料を、事業主の申出により、被保険者分及び事業主分とも徴収しないとされています。

また、育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業及び育児休業に準じる休業)期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主の申出により、被保険者分及び事業主分とも徴収しないとされています。

事業主は、産前産後休業・育児休業について従業員から申出を受けた場合は、「産前産後休業取得者申出書」・「育児休業取得者申出書」を、産前産後休業期間中・育児休業期間中に、日本年金機構の事務センター又は管轄の年金事務所により提出します。

新様式の「産前産後休業取得者申出書」・「育児休業取得者申出言」には、個人番号の記載欄があります。

 

被保険者が産前産後休業期間を変更したとき、又は産前産後休業終了予定日の前日までに産前産後休業を終了したとき、事業主は、速やかに「産前産後休業取得者変更(終了)届」を日本年金機構へ提出することとなっています。

「産前産後休業取得者申出害」と「産前産後休業取得者変更(終了)届」は共用の様式となっており、新様式の「産前産後休業取得者変更(終了)届」にも個人番号の記載欄があります。

被保険者が育児休業期間を予定日前に終了した場合、事業主は、「育児休業等取得者終了届」を日本年金機構へ提出することとなっています。

「育児休業取得者申出書」と「育児休業取得者終了届」も共用の様式で、個人番号の記載欄があります。

 

養育期間標準報酬月額特例申出書

厚生年金には、子どもが3歳までの間、勤務時間短縮等の措置を受けて働き、それに伴って標準報酬月額が低下した場合、子どもが生まれる前の標準報酬月額に基づく年金額を受け取ることができる仕組みが設けられています。

被保険者の申出に基づき、より高い従前の標準報酬月額をその期間の標準報酬月額とみなして年金額を計算します。

養育期間中の報酬の低下が将来の年金額に影響しないようにするための措置です。

事業主は、養育期間標準報酬月額特例について従業員から申出を受けた場合は、「養育期間標準報酬月額特例申出書」を、速やかに、日本年金機構の事務センター又は管轄の年金事務所に提出します。

新様式の「養育期間標準報酬月額特例申出言」には、個人番号の記載欄があります。

 

 

70歳以上の従業員を採用又は従業員が70歳になったときの手続

被保険者資格喪失届

従業員は70歳に達すると厚生年金の被保険者資格を喪失します。

この場合、事業主は、被保険者資格の喪失日(70歳の誕生日の前日)から5日以内に、「被保険者資格喪失届」を、日本年金機構の事務センター又は事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。

この「被保険者資格喪失届」は、上記の従業員が退職・死亡したときに提出する「被保険者資格喪失届」と共用の様式であり、新様式では個人番号の記載欄があります。

 

70歳以上被用者該当届・70歳以上被用者不該当届

平成19年4月以降、70歳以上の従業員についても、下記の一定の要件に該当する場合(70歳以上被用者)、在職老齢年金制度が適用されることとなっています。

  • 昭和12年4月2日以降に生まれた人
  • 過去に厚生年金保険の被保険者期間を有する人
  • 厚生年金保険法第27条に規定する適用事業所に使用される人であって、かつ、同法第12条各号に定める者に該当しない人

従業員が、上記の一定の要件に該当したとき又は該当しなくなったときに、事業主は、該当又は不該当の事実発生から5日以内に、「70歳以上被用者該当届」又は「70歳以上被用者不該当届」を、日本年金機構の事務センター又は事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。

 

在籍している従業員が70歳に到達し、70歳以上被用者に該当する場合は、「70歳以上被用者該当届」を提出し、また、70歳以上被用者に該当する人を新たに採用した場合にも「70歳以上被用者該当届」を提出します。

 

70歳以上被用者が退職などにより被用者でなくなった場合は、「70歳以上被用者不該当届」を提出します。

 

「70歳以上被用者該当届」は、「被保険者資格取得届」と共用の様式となり、また、「70歳以上被用者不該当届」は、「被保険者資格喪失届」とそれぞれ共用の様式となり、それぞれ新様式では個人番号の記載欄があります。

 

厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届・月額変更届・賞与支払届

70歳以上も厚生年金を受給しながら働き、在職老齢年金制度の適用を受ける70歳以上被用者について下記の事由が生じた場合、事業主は、「70歳以上被用者算定基礎届」・「70歳以上被用者月額変更届」・「70歳以上被用者賞与支払届」を、日本年金機構の事務センター又は事業所の所在地を管轄する年金事務所に提出します。

  • 定時決定を行うとき
  • 随時改定に該当したとき
  • 賞与を支払ったとき

それぞれの提出時期は、算定基礎届は、毎月7月10日まで(年によって前後する場合があります。)、月額変更届は、速やかに、賞与支払届は賞与を支払った日から5日以内とされています。

そして、「70歳以上被用者算定墓礎届」・「70歳以上被用者月額変更届」・「70歳以上被用者賞与支払届」は、それぞれ「被保険者報酬月額算定基礎届」・「被保険者報酬月額変更届」・「被保険者賞与支払届」と共用の様式となり、それぞれ新様式では個人番号の記載欄があります。

 

 

まとめ

個人番号法の施行により、社会保障分野に関する様々な書類に個人番号を記載することが予定されています。

ここでは、社会保障分野の中でも、事業者が取り扱うことの多い、雇用保険に関する書類、厚生年金に関する書類、健康保険に関する書類の中の厚生年金に関する書類について説明しています。

 

ここでは、個人番号欄が追加された書類のうち、以下の主な書類に関する手続きについて説明しました。

  • 従業員に賞与を支給したときの手続
  • 従業員が産前産後休業・育児休業を取得したときの手続
  • 70歳以上の従業員を採用又は従業員が70歳になったときの手続

これらの書類についての個人番号の取得は、本人から直接取得した後、保管し、利用目的の範囲内で継続的に利用するもので、採用時や継続的取引における契約締結時に、あらかじめ考えられる利用目的を通知して、個人番号を取得し、その後、継続的に利用する業務フローとなります。

 

前項では、下記の項目について記載しているので、合わせて確認しましょう。

  • 従業員を採用したときの手続
  • 従業員が退職・死亡したときの手続
  • 従業員の報酬月額の届出、変更等を行うときの手続

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